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【代表コラムvol.10】不動産終活の始め方、3つの基本

2025.05.06

まずは「どこに、何を持っているか」を把握する

 

 

不動産終活とは、「前もって整理し、次の世代にスムーズに引き継ぐための準備」です。

いわば「後始末」ではなく、「前始末」。問題が起きてから慌てるのではなく、起きる前に備えるという考え方です。

では、具体的にどのように進めればいいのでしょうか?

まず最初に必要なのが、「所有している不動産を正確に把握すること」です。

不動産の所有者には、自宅1件だけの人もいれば、相続や投資によって複数の土地・建物を保有している人もいます。

とくに、先代から受け継いだ不動産を管理している人ほど、「何をどこに持っているのか」があいまいなケースが多いのが現実です。

「固定資産税の納税通知書に載っているから大丈夫」――本当にそうでしょうか?

  • 権利証はあるか

  • 抵当権は残っていないか

  • 賃貸中の土地や建物の契約書は存在するか

  • 農地や山林は、実際にどこにあるか把握できているか

  • 賃料収入はあるか/誰に貸しているのか

  • 登記名義は更新されているか

こうした情報を一つでも欠いたまま放置すると、将来、売却や相続の場面で問題が発生する可能性があります。

年齢を重ねるにつれて記憶も曖昧になります。

「昔から持ってるから分かってるつもり」でも、書類が揃っていなかったり、場所が特定できなかったりと、“知らない”資産になってしまうこともあるのです。

まずは、不動産のエンディングシートや資産一覧表を活用して、

すべての所有不動産を“見える化”するところから始めましょう。

 

 


 

「整理」と「分け方ルール」で終活の仕上げを

 

 

不動産の全体像を把握したら、次は整理と分類です。

たとえば・・・

  • 権利証が見当たらない → 再発行や確認手続き

  • 抵当権が抹消されていない → 登記の修正

  • 賃貸契約書が存在しない → 契約の確認・更新

  • 登記が亡くなった親名義のまま → 相続登記の検討

これらは「あとでやろう」と思っていても、時間が経つほど手続きが面倒になります。

放置すれば、やがて誰も管理できない“問題不動産”になる恐れもあります。

そしてもうひとつ、大切なのが「相続後の分配ルールを決めておくこと」です。

法律上の相続割合はあくまで「目安」であり、最終的には話し合いで決めるよう求められています。

しかし、相続が発生した“そのとき”に、冷静な話し合いができるとは限りません。

たとえば、親と同居して介護を続けてきた長男の妻が、

他の兄弟から「法律通り1/3ずつで」と言われたとき――

「ずっと世話してきたのに、何それ!」と感情的になってしまうのは、よくある話です。

本来は、その“感情のもつれ”を防ぐために、事前に家族で分配ルールを決めておくことが理想です。

残す不動産、処分する不動産、活用する不動産――それぞれの意志や事情に応じて、

ルールを共有し、記録に残しておくことで、将来の混乱を防ぐことができます。

 

 


 

不動産終活は、単なる“名義変更の準備”ではありません。

自分の資産と責任を自分で整理し、家族が安心して次に進めるようにする思いやりの行動です。

「そのうち」ではなく「いま」始めることが、もっとも後悔のない形で未来に備える方法です。

まずは一覧表の作成から、一歩ずつ取り組んでみませんか?

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